災害

災害時バックアップシステム

国立大学病院診療情報バックアップ事業

災害下にも医療情報の継続性が保たれるように、全国国立大学病院診療情報バックアップ事業(The Gemini Project)が平成25年度より開始されました。診療データのみならずシステムバックアップも保存することで、速やかなシステム復旧も担保する仕組みとなっています。全国立大学医療情報部長会として実際の災害時に円滑に使用できるようワーキンググループが発足しました。その一員として、運用手順を定めています。

地域医療連携システム (Miyagi Medical and Welfare Information Network )

Gemini Projectと同様に、宮城県でも診療情報のバックアップシステムが構築されています。我々は東北大学病院として、活用促進に協力しています。具体的には、患者勧誘、活用方法のアイデア提示、システムの技術的支援などを行っています。コロナ禍では、県の依頼を受け療養施設および対策本部間の情報連携を行い、陽性患者への迅速な対応に寄与しました。

大規模災害時の非常用通信手段の在り方

ICT化の進展に伴い、災害医療・救護活動の通信ネットワークへの依存度が近年増大しつつあります。一方で、東日本大震災時には、携帯電話を始めとして通信サービスの途絶・輻輳がありました。災害時に、より確実な通信が可能となるように衛星通信他、非常用通信手段を確保しておくことが不可欠です。こうした非常用通信手段の在り方を検討する総務省主催の研究会に参加し、災害医療の強化に向けた報告書を作成しました。

宮城県モバイルアセスメントシステム事業

東日本大震災では、多くの方が避難所生活を余儀なくされました。栄養や衛生状態、疾患患者の有無など複数の環境要因を正しく評価して、対応することはとても重要です。実際に石巻で対策チームをとりまとめた石井正先生(現東北大学病院総合地域医療教育支援部)を中心として、評価項目の標準化を進めるとともに、モバイル端末を使用したデータ収集・分析・共有システム(モバイルアセスメントシステム)の開発・実装を行っています。さらに、本システムにより複数の避難所の状況が統一したフォーマットで時系列に比較できますので、それをもとにどのように対応すべきかという医療コーディネーターとしてのアルゴリズムをまとめる研究も行っています(科学研究費助成事業)

Ishii T, Nakayama M, et at. Development and verification of a Mobile Shelter Assessment System “Rapid Assessment System of Evacuation Center Condition featuring Gonryo and Miyagi (RASECC-GM)” for Major Disasters. Prehospital and Disaster Medicine. 2016 Oct;31(5):539-46.

ECG on QRcode

心電図情報をQRコードに包含し、一般のQRリーダーを用いることで心電図情報を復元できるプログラムを作成しました。本機能により、診療情報システムやPACS等が活用できない状況においても以前の心電図情報を参照でき、災害時に発症が増加する心疾患のスクリーニングに役立てることができます。本研究は平成25年8月コペンハーゲンで開かれた国際医療情報学会MedInfo2013で発表し、Distinguished Poster Awardを受賞しました。

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